作家やアーティストなど100名が今年1年に出会った自分の名著をオススメするフェアで、オススメの本と推薦コメントが飾られている書棚が店内に展開されています。
こちら、以前(2015年のとき)も一度参加させていただいたフェアです。
今回の推薦図書は、水声社『ミヒャエル・ハネケの映画術——彼自身によるハネケ』。
映画監督のミヒャエル・ハネケはパルムドール受賞経歴もある超ベテラン映画監督なのですが、作風はというと、とにかく世界の暗い面をスーパーリアルに撮ってるひとです。
1~2年前くらいに、個人的なことでにけっこう世を憂いて暗~い気持ちになってた時期があるのですが(…というほど深刻なものでもないのですが)、こらあかん、精神力を鍛えねば…!と思いたち、筋トレのためにジム通いをするように、精神鍛錬のためハネケ作品を立て続けに借りて観はじめたのです。
そして、あ~世の中って結構酷い…と世の悲惨さを少しずつ受け入れることができて、混乱状態の自分に効き目がありました。
とはいうものの、いかんせんハネケ作品はいわゆるエンタメでないので、難解な部分や退屈な部分が多いです(寝オチ率高し)。
それでも全体的にただならぬ魅力があるので、この人が何を考えて作ったのか誰か解説して~と思ってた頃、この本の存在を知りました。
ハネケ監督が初期作から最新作(←刊行時の)まで全て解説してるインタビュー本で、正直映画より本のが誰が見ても面白いものになってる気がします。(こんなん言うとハネケに怒られそう)
作品解説だけでなく、技術的なこととか、撮影時のゴタゴタなんかもかなり正直に語っていて(この俳優はダメだったとか、カメラマンのミスで全部だめになったとかバンバン言う)、おもろいっす。
値段は高めだけど、映画を見直したりしながら読めば長く楽しめる本だと思います!
それと、ブックファースト新宿店さんは赤豹の色紙も展示してくださってるので、お近くの方はぜひ~◎
赤豹が全体的にシリアスな雰囲気の漫画になったのも、その頃の心情が反映されてるのやも。
悲惨さの中にある良心や喜びを描いてみたかった。
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